プロフィール

「日本のお墓文化探訪」をご覧いただき、ありがとうございます。このブログを運営している佐藤雅人と申します。

私は民俗学を専門とする研究者として、これまで20年以上にわたって日本各地のお墓文化を調査・研究してまいりました。このブログでは、その長年の研究成果を皆様と共有し、日本の豊かな墓制文化の魅力をお伝えしたいと思っています。

研究への道のり

運命的な出会い

私が墓制研究の道に進むきっかけとなったのは、大学生時代の一つの体験でした。祖父の故郷である山形県の小さな農村を訪れた時、そこで目にした江戸時代から続く古い墓地の風景に、言葉では表現できないほど深い感動を覚えたのです。

石に刻まれた文字、墓石の形、そして墓地全体の配置。すべてが現代の都市部で見慣れたお墓とは全く異なっていました。「なぜ地域によってお墓の形がこんなにも違うのだろう」「この違いには、どんな意味が込められているのだろう」。そんな素朴な疑問が、私の研究人生の出発点となりました。

学問の道へ

京都大学文学部史学科で学んだ後、同大学院で民俗学を専攻し、博士課程まで進みました。博士論文では「近世から近代における日本の墓制変遷と地域性」をテーマに、全国各地の墓地調査を行いました。

文献だけでは分からない、生きた文化の姿を求めて、北は北海道から南は沖縄まで、47都道府県すべてを訪れました。これまでに調査した墓地や霊園は1000箇所を超えます。

研究機関での経験

大学院修了後は、国立民族学博物館で5年間研究員として勤務しました。そこでは日本の葬送文化に関する展示企画や調査研究に携わり、多くの来館者の方々に日本文化の奥深さをお伝えする機会をいただきました。

現在は京都の私立大学で非常勤講師として民俗学を教えながら、独立研究者として全国各地でのフィールドワークを続けています。

私が大切にしていること

地域の人々との対話

研究において最も大切にしているのは、地域の人々との対話です。どんなに古い文献を読み込んでも、実際にその土地で暮らし、文化を受け継いできた方々の生の声に勝るものはありません。

「この墓石の形には、どんな意味があるのですか?」
「昔からこの地域では、どのようにお墓参りをしてきたのですか?」

そんな質問を投げかけながら、地域の古老の方々から貴重なお話を聞かせていただいています。時には方言で語られる昔話の中に、文献には記録されていない重要な文化的情報が隠されていることもあります。

文化への深い敬意

私は常に、どんなに小さな地域の慣習でも、そこには長い歴史と人々の想いが込められていると考えています。文化に優劣はありません。それぞれが等しく尊重されるべき人類の財産なのです。

近年の都市化や核家族化により、地域固有の墓制文化が急速に失われていることに、研究者として強い危機感を抱いています。「今記録しなければ、貴重な文化遺産が永遠に失われてしまう」。そんな使命感が、私の研究活動の原動力となっています。

現代との架け橋

古い文化を単に懐古するのではなく、現代社会にどう活かしていけるかを常に考えています。伝統は博物館の中だけのものではありません。現代を生きる私たちの指針となるものでもあるのです。

先人たちの知恵と美意識、そして家族への愛情が込められたお墓文化から、現代の私たちが学べることは数多くあります。

研究の成果

学術的な活動

これまでに「近世山村における墓制の地域的特色」「都市化が伝統的墓制に与える影響」「石工技術の伝承と地域文化」など、多数の論文を発表してまいりました。

また、『日本の墓石が語る歴史』(共著)、『失われゆく墓制文化』(単著)などの著書も出版しています。

メディアでの活動

NHKの文化番組や地方局のドキュメンタリー番組にも専門家として出演し、より多くの方々に日本の墓制文化について知っていただく活動も行っています。

私の日常

家族との時間

妻と小学生の息子、娘の4人家族です。家族も私の研究に理解を示してくれており、時には調査旅行に同行してくれることもあります。子どもたちにとっても、各地の文化に触れることは貴重な体験となっているようです。

趣味と学び

古地図の収集が趣味の一つです。江戸時代から明治時代の古地図を見ることで、墓地の変遷を知る重要な手がかりを得ることができます。

また、フィルムカメラでの写真撮影にもこだわっています。デジタルでは表現できない、石の質感や墓地の雰囲気を記録するために、今でもフィルムを使い続けています。

週末には地元の陶芸教室に通っています。土に触れることで「ものづくりの心」を学び、石工職人の技術への理解も深まると考えています。

日々の習慣

毎朝、自宅近くの古い寺院を散歩することから一日が始まります。境内の墓地を眺めながら、「今日はどんな新しい発見があるだろう」と心を躍らせるのが日課です。

調査で訪れた各地の寺院でいただいた御朱印を集めることも、私の小さな楽しみの一つとなっています。

読者の皆様へ

このブログを通じて、日本の豊かな墓制文化の多様性を多くの方に知っていただきたいと思っています。お墓は単なる石の塊ではありません。そこには先人たちの知恵と美意識、そして家族への深い愛情が込められているのです。

また、文化は生きているものです。過去の文化を懐古するだけでなく、現代社会にどう活かしていけるかという視点も大切にしたいと考えています。古き良きものを知ることで、現代の私たちの生き方も豊かになるはずです。

地域の文化継承者である高齢者の方々の貴重な証言を記録し、次世代に伝えていくことの重要性も、このブログを通じてお伝えしたいと思います。今しか聞けない話、今しか見られない風景を大切に記録し、未来に残していきたいのです。

皆様と一緒に、日本文化の奥深さを探求していけることを楽しみにしています。ご質問やご感想がございましたら、お気軽にお声かけください。


佐藤雅人
博士(文学)・民俗学研究者
日本民俗学会会員・日本文化人類学会会員
「日本のお墓文化探訪」運営者